今日は「や」の気分

自分が触れて感じたことを伝えるブログです

【感想】【ゲーム】Slay The Spire

概要

基本的な要素をクリアしたので、感想を書く。
そうしないとプレイ欲求から解脱できないから。
強制的にプレイを止めないと、ずっと遊べてしまう。
他のゲームも遊ばないといけないのだ…『デス・ストランディング』とか。
 

開発経緯

開発:MEGA CRIT(公式サイト)
 
製作者インタビューから抜粋すると…(任天堂による開発者へのインタビュー)
 
アンソニー氏とケーシー氏の2名が2015年に設立した開発スタジオMEGA CRITの処女作。
デッキビルド型のボードゲーム(代表作は『ドミニオン』)が好きで、自分たちでもゲームを作ることにした。
幼少期から『マジック:ザ・ギャザリング』の大会にも出場しており、大学の頃はカード&ボードゲーム屋の店長をやっていた。
さらにゲームでは『ローグライク』が大好物だった。
 
プロシージャル(自動生成)されたステージをリセット&レベルアップしながら目的達成を目指すジャンル
 
さて、面白さを生んでいる要素は色々ある。
 

1:与えるダメージと被るダメージが計算できる

こちらのカードは「3ダメージ与える」「5ダメージ分ブロックする」と予め説明されているし、敵の行動でも「12ダメージを与えてくる予定」「5ダメージ分のブロックを生成する予定」とこれから起きる数字のやりとりが事前に把握できる。
よって、すべては自己責任となり、成功の喜びも失敗の痛みもすべてが自分のもの。
ツライ瞬間もあるが、手に入れた勝利の喜びは何物にも代えがたい。
現代のゲームは「自己責任の希薄化or潜在化」により「ストレスのないゲーム」を目指している勢力が多いので、スレイザスパイアの「ぜーんぶあなたのせいですから!」という仕組みが小気味よい。
 
シビアではあるがフェア。
無意味な選択(行動)が存在しない。
 
このゲーム体験はフロム・ソフトウェア製のゲームにも通じるところがある。
 
スレイザスパイアはアクションゲームではないし、ソウルライクでもない。
ただ、勝利という結果だけでなく「熟達していく過程」も楽しめるのは共通点だろう。
上手くなる過程が楽しいということは、つまりゲーム全てに意味を感じ、全てを楽しめるということだ。
 

2:相手の行動が提示されている

1と被るが、これこそがスレイザスパイアの大発明だ。
通常のRPGでは「相手が誰を狙っているか」を知ることはできても「どういう行動をするか」「どれほどのダメージを受けるか」を知ることはできなかった。相手が何をしてくるか分からないということは「管理できない運要素」ということであり、行動選択の際にある程度のパターンを想定してから選ぶ必要があった。それでも結局は相手の行動は開示されるまで分からないので、判明したところで「なんだよそっちかよ」という落胆と怒りが生まれることは避けられない。
その「予想」こそがゲームの楽しさと言えなくもないが、その遊びだけが正解だといえるのだろうか。
予想は当たれば楽しいが、ハズれれば理不尽だ。
ハズレすらも考慮した最善を尽くすという楽しみもあるが、玄人好みでハードルが高い。
もっと気楽に楽しめつつ、シビアな決断を迫る方法はないのか。
その答えがスレイザスパイアで提示された。
すなわち「すべてさらけだす」である。
 
インタビューより抜粋。
Q:どの部分に秘訣が隠されていますか?
A:一概には言えませんが……例えば1つ挙げるとすれば、
私たちが「インテントシステム」と呼ぶ機能です。
これは何かというと「敵の次の行動のアイコン表示」になります。
 
開発者であるアンソニー氏によっても、本作の最大の発明であることが分かる。
 
ここで閑話休題
 
RPGの歴史は「情報の扱い方」の歴史でもある。
あ、TRPGの歴史には疎いので、おそらく多くの人が「わかってないなー」と怒るのは承知の上です。
 
攻撃がヒットする、しないをどう表現するのか。
体力、魔力、死んだ、生きている、蘇生、灰…これらの情報、確率、運命、結果をどう表現するか。
宝箱のランク、中身のランク、良い、悪い、普通…これらの情報をどう表現するのか。
 
アクション(行動)ではなく、生まれついてメタ的なのがRPGだ。
シームレスな世界を非シームレス化する、すなわち分類し除外し強調するのがRPGのシステムだ。
 
「時間」に注目すれば『グランディア』のバトルシステムになる。
「成長」に注目すれば『ロマンシング・サガ』のバトルシステムになる。
「行動権」に注目すれば『真・女神転生Ⅲ』のプレスターンバトルになる。
「情報」に注目すれば『スレイザスパイア』のバトルシステムになる。
 
絶え間ないゲームプレイと観察により閃いたアイデアだから、とてつもなく面白い。
模倣ゲームがsteam上であふれかえるわけである。
 

3:ゲームに習熟しやすいように調整されている

カードの数は多いし、キャラクターが3体いるので、覚えるカードもその分増える。
それでも、5回もプレイすればおおよその仕組みは理解できる。
 
カードの説明文が分かりやすい、もともとのルールが分かりやすいということはあるけれど、一番おもしろい調整だと思うのは「敵の行動が超単純」ということだと思う。
スレイザスパイアに登場する敵はだいたいが「攻撃→特殊→攻撃…」を繰り返してくる。
特殊…に当てはまるのはバフ・デバフ・状態異常・スーパーアタック・特殊行動だ。
バフ…攻撃力に上昇補正をかけたり、次回以降の行動に何らか上昇補正をかける行為のこと。
デバフ…バフの反対に、相手の行動に下降補正をかける行為のこと。
状態異常…毎ターンダメージを受ける「毒」や攻撃力が半減する「脱力」など。
スーパーアタック…その敵の基礎攻撃力の2~3倍程度の大ダメージアタック。
特殊行動…12枚カードを使うと強制的にターンを終わらせるなどの、その敵を特徴づける固有のスキル。
 
ゲーム中には様々な敵が登場するものの(全部で30体弱?)行動ルーチンは「攻撃→特殊→攻撃」になっている。
あ、特殊には「防御」も含むと思ってほしい。(特殊or準備、と言ったほうが正しいか)
 
単純であるということは予想がつく、ということで即ち「予定が立てられる」ということである。
前述した通り本作の良さは
 
シビアではあるがフェア。
無意味な選択(行動)が存在しない。
 
なので、予定が立てられることは「現在だけでなく未来についても考える」ことになり、面白さにつながる。
 
確かに敵の行動はさらけ出されているが、ルーチンが複雑だと「短期的な予定」しか立てられない。
敵のルーチンが単純なことで、勝利か敗北するまでのラウンド全体のロードマップを敷くことができる。
これが面白い。
 

4:フレーバーテキストが面白い

いわゆるちょっとしたテキスト。
さすがに『マジック:ザ・ギャザリング』などカードゲーム愛好家だけあって、ちょっとしたテキストが面白い。
地味ではあるが、冷たい世界で遊び続けるよりは、血の通った温かい世界で遊ぶほうが心地が良い。
このあたりもフロム・ソフトウェア製のゲームに通じるところがある。
というより、世間一般で一定以上の評価を得るゲームは「フレーバーテキストが面白い」のである。
フレーバーテキストについてはいつか書いてみよう…。
 

5:手触りが良い

派手さはないが、手触りが良い。
エフェクトもかなり無骨だが、妙におしゃれだったりする。
廃棄されるカードが落ち葉に紛れるように消えていく演出が好み。
 
ゲームは「体験するもの、体感を得るもの」なので、触り心地が良いのは必要不可欠である。
スレイザスパイアはこの部分もちゃんとしている。
 

6:安いよ!

Nintendo Switch版だと2500円くらい。
セール時ならもっと安い。
Steam版だったらセールも多いので1000円くらいで買える。
いいんですか、こんなに面白くて一生遊べるゲームがこんな値段で…!
なんというかもー買うしかない。
 
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おわりに

まあ、見た目で損してるね!
かなーり素朴だし。