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【感想】『星合の空』第12話(最終話)

 見終わった後は「あれ、あと1話残ってるんだっけ?」とネット上での放映予定を確認してしまった。まさかこれが最終話だとは…。Cパートが終わるよりも前に、あまりにラスト試合がスムーズかつ爽やかに進むものだから「いやいや、この作品でこんな普通な終わり方はないでしょう」と訝しがっていたけれど、作品自体の終わりを訝しがることになるとは。

 

 最終話を見終わった後の気持ちが、日が経つごとに変化していったので、それをメモしておこう。

 

見終わった直後:

 これで終わりというのはあまりに杜撰。構成が下手というレベルではなく、明らかに「投げている」が、ベテラン監督がやる内容ではない。まさか風呂敷を広げたまま、回収の予兆すら感じさせずに終わるなんて。何か事情があるに違いない。これでは作品を「評価」することすらできない。

 

監督のツイッターを読んだ直後:

 なるほど、当初は24話だったものを、12話でまとめろと言われてヤケになったのか。毎話「まとめきれるのか?」とハラハラしていたが、最初からまとめる気がなかったわけだ。そりゃ、のんびりと話が進むのも当然。

 いやいや、こんな投げっぱなしでいいのか。曲がりなりにもプロなのに、関係者の顔に泥を塗るような真似をしていいものか。アニメーターはもちろん、劇伴を提供したjizueや主題歌を担当した中島愛やAIKI from bless4(あってる?)に申し訳ないと思わないのか。今後「ああ、あの問題作の劇伴ね」とファンから言われるんだぞ。

 大人なんだから、プロなんだから、お客や関係者を無視するような真似はいかんでしょ。

 何が「この作品としては、こんな終わり方もいいのかも」だよ。

 

その次の日:

 普通に考えれば、まともな精神ではこんな暴挙はできないので、監督の精神は怒り狂っていたに違いない。何に怒っていたか?もちろん杜撰な打ち切り体制だ。怒りを作品に乗せるくらいだから、よっぽど腹に据えかねる仕打ちだったんだろう。絶対24話でいきますから、と進めていたにも関わらず簡単に「やっぱ12話でヨロ」と反故されたんだろう…けど、やっぱり暴挙は暴挙だよ。

 関係者はこんな終わり方に納得してるんだろうか?

 

その次の日:

 監督としては、この作品に思い入れがあったっぽいんだよね…。作品を「子」だと捉えたとき、どういう終わらせ方が幸せなんだろうか。当初24話だった話を、12話にまとめ直して完結させる?普通はこちら。100%の内容に対して50%の内容になるかもしれないけど、それを商品レベルまで持っていくのが監督の腕の見せ所。けど、商品ではなく「作品」だった場合、再構成は本当に幸せな結末なのか。

 むしろ中断してコールドスリープさせて、いつか復活するその日を待つほうが幸せなんだろうか。そうすれば完結しないけど「改造された我が子」にはならない。

 これもまた、作品にとっての幸せか…もしかしたら、スタッフも納得したのかもしれない。「いつか、完成させてやりましょうよ」と。

 うう…それなら、クラウドファンディングをすぐに始めてくれよ。その姿勢がなけりゃ「どうでもいーよ」って考えに見えちゃうよ。

 

 ま、それはさておき。

 

 この時代に、こんな「事件」が起きて、それを目の当たりにできるなんて、申し訳ないけどドキドキする。監督が更迭されて無難にまとめられるでもなく、テロリズムが完遂されてしまったかのような不穏さ。狙ってやったことではないだろうけど、アヴァンギャルドな感じは嫌いじゃない。一般向けに公開する内容ではないかな。予め「やべーことやるぜ」と告知したほうが良かったのでは。

 

 ま、それもさておき。

 

 Cパートの色彩設計はかなり珍しいものだった。ここまで紅蓮の夕空は目にしたことがない。現実では3年に1度くらい夏のある日に目にする雷鳴轟く不穏な空色。背景美術のディティールの繊細さも相まって、非常に面白い絵になっていた。この色彩設計で『ちーちゃんはちょっと足りない』をアニメ化してほしい。